THE DA VINCI CODE by Dan Brown   邦題『ダ・ヴィンチ・コード』


最高にスリリング! 単なるベストセラーではない! 読んで良かったと思う、納得の世界的ベストセラー

普段はベストセラーを信じない私だが、これは社会現象化までしているので、少し気にとめていたのだがしばらくそのままになっていたのを、職場の友人がはまった!という一言で私の背中は押され、そのまま本屋へ直行し、ペーパーバックを手にしたのであった。そして読み終わった今、友人の薦めに感謝している。(この本のためにパリを訪れる人が増えたり、最近では日本でも少なくとも2本のスペシャル番組まで放映されている、映画化もすでに決定済み)

とにかくこのダン・ブラウンという作者は滅茶苦茶上手い!というのが読後すぐの感想。
なにしろ上手く書けているとしかいいようがないのだ。最後まで新たなる驚きの連続であり、期待を裏切らない。
 登場人物の魅力的な設定、謎めいたオープニング、時折リラックスさせる絶妙なユーモアのセンス、そして何よりも世界中の人々を惹きつけて止まないダビンチと聖杯の謎という巨大なトッピックを扱うそのずば抜けた力量に喝采を送りたい。
 このミステリーにはキリスト教の隠された歴史や聖杯の謎、ダヴィンチの「最後の晩餐」における謎についての綿密なリサーチに裏付けられた記述が豊富で、一般読者を啓蒙するに十分な説得力を備えている。
実際私自身、ある程度の知識が身に付いたという感じがして、この手の小説では実に珍しいことである。

私が思うに、この作者の狙いは一般人を啓蒙することにあるのではないかと思う。しかもこれほど世界的に受け入れられていることを考えるに、作者の賭けはかなり成功していると思われる。恐らく時代が彼の作品を受け入れたのだと言ってもよい。
 しかしながらかなり冒険的な作品である。時代が違っていたら、間違いなく発禁本であろうし、作者もただでは済まなかったに違いない。だからこの本を良く思わない人達が存在していることも忘れないようにしたい。果たして教会などから反発や抗議はなかったのだろうか?と思わずにはいられない。ある意味で世界最大の宗教に挑戦しているとも言える内容なのだから。

実際私の近くに素晴らしい人柄の敬虔なキリスト教徒の方がいらっしゃるが、この本については相当な不快感を持っているようであった。確かにこの内容であれば、無理はないのかもしれない。教会に通わない私はある程度距離感を持って眺められるが、そちら側に属している人達にとっては、、、。

実を言うと、この本を読みながら私は少々複雑な気持ちを抱いていた。というのも読みながら、その内容に感動した人がいるのに対し、明らかに不快感を抱く人がいるのを知っていたので、自分はどちらに転ぶのだろうかと疑心暗鬼しながら読み進めていたのだ。
そして結果は私の場合、間違いなく前者であった。おそらく私の場合、第三者の立場で本を読むことが出来たからであろう。

これからは新しいスピリチュアリティーを体現化するような時代になっていくであろうと思われる。この本はまだその第一章にすぎないのかもしれない。
私個人としては、作者であるブラウン氏の大胆さとその勇気に敬意を表したい。

Posted: Thu - March 31, 2005 at 10:34 PM      


©