ポオに惹かれるのは



私は卒論でもポオを選んでいるが、
ポオのどこがあれほど好きなのだろうと今改めて考えてみる。

ポオのような天才が貧困にあえいで、屋根裏部屋のような部屋に閉じこもり、
夜な夜な自分の創作世界に没頭していたのかと思うと、私はなんだかたまらない気持ちになる。
彼の創作への情熱が凝縮されていく様を見るようで、その創作現場を想像すると血が騒ぐのだ。

私は彼の風変わりな容貌にも興味をそそられた。
肖像画が残っているが、あのでこぼことした頭と異常に広い額。
憂いを帯びた深淵から覗くような濃い瞳。

 思えばポオの作品群は、いつでも私をあの完璧なまでに閉じられた、
恐怖と美が渾然一体となった世界へと導いてくれた。

夜一人で、部屋に篭もり蝋燭の灯りの下で読んでみたいような、
そんな異次元へと誘ってくれる。

それがたまらなく魅力的で、しかも怪しい美しさに溢れている。
現実にはあり得ないような光景が鮮やかな色彩を伴って叙情豊かに出現した。

ポオの魅力はなんといっても彼が詩人であり、
その作品が詩と並んで完璧かつ、
まるで精緻を極めた宝飾品のように美しいということである。

ポオの作品はどれも異次元の世界のようだが、
実は現実から完全に切り離されたものではなく、常に何かを暗示している。
そしてどこかでこの現実世界とつながっていると思えたからこそ、
私を惹きつけて止まなかったのだと思う。

Posted: Mon - April 12, 2004 at 06:04 PM      


©