ポオで好きな作品


Mixiサイトに載せた記事ですが、大幅に加筆しました

ポオで好きな作品を選ぶのは難しいですが、
やはり美女再生譚と言われている一連の物語が特に好きです。

『モレラ』『ベレニス』『ライジーア』『エレオノーラ』
何度読んでも飽きないほど。
そのこの世ならぬ美しさと恐ろしさが独特の閉じられた世界を創り上げています。
美女の死と再生はポオの永遠のテーマの一つと言えるでしょう。

また最高傑作と言われている『アッシャー家の崩壊』は、
読み返す度にその完成度の高さに唸ってしまいます。これほど完成度の高い作品は他にないかもしれません。
まさに天才としかいいようのない作品です。

庭園譚も好きです。『庭園』『アルンハイムの地所』
ポオは詩人なので情景描写も息を呑むほどに美しい。
植物や地形の描写が細かいながら、どこかこの世ならぬ雰囲気があるのです。

詩のような小品『妖精の島』『沈黙』は、
完璧な世界で黙示的であり静謐な美しさがあります。
これも私には堪らない作品で時々繰り返して読みたくなります。

『楕円形の肖像』は物語に思わずのめり込んでしまいました。
絵画を主題にした物語をポオが書いているのです。

『メエルシュトレエムに呑まれて』を中学の時に読んでから、かなり衝撃を受け、
大渦をいつかこの目で見たいという密かな願望を抱くようになりました。

『長方形の箱』は謎めいている上に、とてもドラマチックなので、いいお芝居になりそうな気がします。

『赤死病の仮面』の極彩色のコントラストには、圧倒されます。
ピーター・グリーナウェイ『コックと泥棒、その妻と愛人』を観たときの色彩の衝撃と似たものがあるような気がします。

『ウィリアム・ウィルソン』
これも傑作ですね。建物の迷宮のような描写も印象的だった。
あの当時、衝撃だった結末。色々な作家が様々な作品で用いているテーマの一つにもなっています。

詩も好きです。
The Raven ポオの代表作 出世作
“ Nevermore”と繰り返される不気味さがやはりポオなんですね。

Annabel Lee  この詩のファンの方が多いようです。実にせつなく美しい詩です。
ここでも恋人の美女がまたこの世を去っています。
しかし死をも超えようとする愛情の深さに心打たれます。

推理小説ものでは、
『黄金虫』が一番好きです。確か小学生の時に初めて読んだと思いますが
すごく印象に残っています。

評論では、
巽孝之著の『E.A.ポウを読む』は読みの鋭さに圧倒されました。
ポウを深く読み説きたい方にはお薦めです。目からウロコの本です。

八木敏雄著の『ポオ研究ー破壊と創造』は読み物としてもとても面白く、夢中になって読んだのを覚えています。
ポオの生涯に興味のある方にはお薦めの一冊です。

取り敢えずこの辺で。

以上

Posted: Wed - July 26, 2006 at 10:00 AM      


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