『ミスターインクレディブル』 ★★★★


ディズニー 家族愛を描いた秀作   
最高に面白かった!  もう一度観たい。

久しぶりに映画を観た。随分前から話題になっていたし、面白そうだから観たいと思っていたが、期待以上に面白くて、すっかりインクレディブルファミリーのファンになってしまった。

 映像の美しさと迫力も申し分なく、アクションの派手さにもどこかほのぼのとした所があって、嫌みがないのが凄いところ。そしてなんといっても、インクレディブル家族それぞれのキャラクターが個性的で面白いし、その描き方が正確で魅力に溢れている。

 ミスターインクレディブルはたとえ普通の人になっても、真の底まで善人であり続けるというキャラクターが魅力である。人助けのヒーローを禁じられてからも、夜に内緒で人助けをしてトラブルになってしまうエピソードや、保険会社に勤めるも顧客に同情してつい助けてしまったりするし、人助けがしたくて成り行きでとうとう首にまでなってしまう。それでもいつも過去の正義の味方ヒーロー時代の自分が忘れられない。常に妻を恐れつつもどこか愛嬌がある彼は、大変な家族思いでもある。

 元ヒーローの妻ヘレンは、現在普通の主婦であり良き母親であろうと奮闘しているが、なかなか現状に適応できない家族に翻弄されている。女性であり母親であるなら、自分たちのパワーを隠して、なんとか周りとの調和に努め家族の平和と幸せを願うのが当然であろう。現実的な彼女はスーパーウーマンであることをきっぱり捨てている。
ところがいざ夫や子供が危険にさらされるとなると、それこそ一転してスーパーヒーロー時代の普通でないパワーを全開にし助けようと大活躍する。だが彼女がヒーロー時代のように戻るのは、あくまでも家族を守るためであるところが、男であるボブと異なるところでもある。現実的な女であるヘレンに対し、夢ばかり追っている男のボブ。非常に上手く対峙させている。

 子供達も日常では自分たちの力をもてあまして、不満だったり困惑するばかりであったが、本当の危険にさらされて初めて自分たちの力が発揮でき、それによって自信を持ち、成長していく姿が微笑ましく描かれている。

 この映画は普通でない家族を描くことによって、どこの普通の家族にもある、ほのぼのとした温かい家族愛を謳歌するのに成功している。日常生活に馴染もうとして上手くいっていない家族のメンバーたちは、直面した危機を乗り越えることによって、どこかばらばらだった家族が一つに団結し、それこそ尋常ならないパワーを発揮して本来の家族の姿を取り戻すのである。そこがこの映画の醍醐味なのだ。

 

Posted: Wed - January 19, 2005 at 11:53 PM      


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