カーズ  [監][脚]ジョン・ラセター ★★★★


思わずほろりとさせられる、見所たっぷりのアニメーション

まさかこういうストーリー展開になるとは思わず、
心温まる最後に思わずほろりとなる。

見始めてすぐに、車たちの世界に引き込まれ、なんの違和感もなくなった。
レーシングシーンの観衆の熱狂ぶりや迫力も見所。

これと絶妙に対比されているのが、ゴーストタウンと化している小さな町。
派手だが非情なレーシング界とは全く正反対の世界がそこにはあった。

果てしなく地味なうえに、時代に取り残されている車たち。
でも彼らは優しさと人情味に溢れ、次第に傲慢な主人公の心を揺さぶるのであった。

これは若い主人公、天才レーサーマックィーンの心の成長物語でもある。

彼はその非凡な才能ゆえに周りからちやほやされるのに慣れ、
うぬぼれた傲慢な若者となっており、実は友人が一人もいない。
周りのスタッフにも嫌われてしまうほどのわがままなのだ。

そんなマックィーンが心優しい車達の住むゴーストタウンへと迷い込むのである。

日常の小さな親切や幸せ、淡い恋心、ちょっとしたいたずら。
そして何よりも初めて友達と恋人が出来たこと。
デートのドライブシーンは景色が実に雄大で美しい。

彼は少しずつ心を打たれて、変わっていく。。

そしてクライマックスである最後のレースでは、
自分のことよりも他者を気遣うその温かい愛に
私たち観客をも含めた皆が、感動の渦に呑まれるのである。

町は以前のように活気を取り戻し、絶望したかつての天才レーサーも
元気を取り戻す。大満足のハッピーエンド。

それに加えて、無駄のない練り込まれたストーリーとシーン、
卓越した脚本、細かい所まで目の行き届いた映像
たまらないユーモアの数々。。

見終わると、キャラクターの車たちが愛しくて溜まらなくなるのです。

この間テレビでたまたまジョン・ラセター氏のインタビューを見て
本気で作っているのだという気迫がこちらにまで伝わってきました。

彼曰く、観客を強制的に感動へと導く、わざとらしいお仕着せのお涙頂戴ではなく、
本当に観客の心を掴み、揺さぶるのにはどうすれば良いのか
と徹底的にストーリーを練り上げ、情熱を持って作り上げたと言っておりました。
大したものです。
この映画を観て、彼の言っていたことが本当であったと良く分かりました。

以上です。

Posted: Wed - July 19, 2006 at 07:28 PM      


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