チェン・カイコー 「さらばわが愛、覇王別姫」「始皇帝暗殺」


中国映画の凄まじい底力 / レスリーチャンの魅力

「10ミニッツオールダー」を以前に観て、印象に残っていたので、この2本を観てみた。
たった今、「さらばわが愛、覇王別姫」を見終わったところ。

凄い迫力にただただ、圧倒された。。
かなり前になるが、「始皇帝暗殺」を見終わったときも、
しばらく口が聞けない状態になった。

美しく、残酷で、激しく、悲しい。。

こうした修飾語句が脳裏にすぐ浮かんでくる映画。

中国映画のこの燃えたぎるようなエネルギーは
一体どこからくるのだろう。
やはり中国人の気質、かつ大陸気質というものなのだろうか。

以前に万里の長城特集などを見て、その並はずれたスケールの大きさに
驚き、呆れるほどであったが、それと共通するものが
この2本の映画にはある。

なんというのか、その壮大さ、力強さに、
とても敵わないという感じが。。

女性像を見てみても
明らかに日本女性のそれとは異なる。

中国映画をあまり観ている訳ではないが
少なくともこの2本に出てくる女性は
美しく、激しく、信じられないほどに強い。
そして彼女たちは何も恐れない。
自分の命を失うことすら全く恐れないのである。

特に「始皇帝暗殺」でコン・リーが演じた姫は
登場するあらゆる豪腕な男達よりも賢くて逞しく勇気がある。

いや、それどころか、私が今まで観たあらゆる映画の主人公たちよりも
遙かに、いや創造を絶するほどに強い女性のように思えた。

その圧倒的な印象は今でも私の脳裏に焼き付いている。

「さらばわが愛、覇王別姫」では、
映像美や迫力、物語展開の素晴らしさにも感銘を受けたが、
実はレスリーチャンの魅力にすっかり参ってしまった。
初めて彼の映画を観たのであるが、どうしてあれほど人気があるのか
今頃分かったという気がする。

男性でありながら、京劇において女形を演じ、相手役の王を
深く愛するが、成就しえない悲しい宿命。。

姫を演じる女形の姿も、その素顔も、なんと美しいことか。
その憂いを帯びた涼しげな、半開きの瞳。
両性具有のような、異質な美しさ。
その艶やかな美は、美女コン・リーを普通の女に見せてしまうほど。

類い希なる美女でさえ、彼の前に出れば、
その魅力の前に食われてしまう。

舞台における玉三郎のこの世ならぬ妖艶な美しさと
共通するものがある。

美しい男、というのは
恐らく美しい女よりも
はるかに堪らない魅力があり、
他を圧倒してしまうものなのかもしれない。

この映画における彼の場合は、容姿というより
その物腰や彼という存在自体に漂う雰囲気に
こちらが参ってしまうように思う。

この2本が大いに気に入ったので、
また別のカイコー作品やレスリーチャン出演の映画も
観てみたいと思う。






Posted: Thu - August 24, 2006 at 07:13 PM      


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