クリスティーナ・オヨス舞踊団 『新歓喜の鼓動』横須賀芸術劇場 


ハイレベルなダンサーが集う舞踊団の最終公演   アントニオ・ガデス氏の訃報

 クリスティーナ・オヨスの公演は前回東京で観ていたが、その時はどういう訳かオヨスはほとんど踊らなかったので、もう半分引退ムードの方なのかと思っていた。ところが、今回はさよなら公演ということもあるのか、体調が良かったのか、ソロもあったし、かなり踊りを披露してくれた。なので、この公演が観れて本当に良かったと思っている。

恐らくとっくに60歳を過ぎているのではないかと思われるが、まだまだ踊れる人だと分かって嬉しくなった。もう決して若くはないという年齢に達していても一線で活躍しているというのは、人間としてそれだけでも尊敬に値するし、人々に元気を与えてくれるものだ。

彼女はなんといってもアントニオ・ガデス氏と長年パートナーを組んでいたことで知られているが、残念ながら20日にガデス氏が他界されたという記事を読んで少なからず動揺した私であった。享年67歳ということである。そしてオヨス氏こそひどく衝撃を受けたに違いない。7月一杯は日本公演中であるから、複雑な気持ちでいるのかもしれない。

さて公演についてだが、前回もそうであったが、この舞踊団は男性陣が素晴らしい。特にソロを踊ったエル・フンコというダンサーは前回見たときからその格好良さに魅了された。そして女性陣のレベルの高さ。オヨス氏の他に4人の女性ダンサーがいるが、誰をとってもトップと言っていい。何しろ上手いので、溜息が出てしまう。
そしてオヨス氏の振り付けはどちらかというと、少し男性的というのか、ストイックな感じがする。そして格好良い。私はかなり好きである。

舞台は後半を迎えると、どんどん熱狂していき、最後には終わってしまうのが悲しくなるほどであった。そして、何よりも忘れがたいのは、舞台のダンサーや歌い手、ギター奏者たちと観客みんなが、まるでその興奮を分かち合っているかのような、一つになったという一体感を味わえたことである。
いつまでも余韻に浸っていたいような、そんな素晴らしい舞台であった。この公演を最後に解散してしまうそうだが、オヨス氏や他のダンサーの今後の活躍を祈りたいと思う。
7/22/04 記述

Posted: Sat - July 17, 2004 at 09:46 PM      


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