ニューヨークシティーバレエ 


『セレナーデ』『ポリフォニア』『ウエストサイドストーリー組曲』オーチャードホール 

 随分奮発してニューヨークシティーバレエのチケットを発売日に買い、ようやく昨日観てきました。何しろ三階席にも関わらず、14000円もしたのです。一番いい席という訳でもなく、こんな高いチケットは買ったことがありませんでした。主人と二人で行ったので、やはりなかなかの出費でありました。そして結果としては良かったけれど、それにしても高すぎるのではないか、というのが私の正直な感想です。

今までほとんどが国内のバレエ団による公演ばかり観てきましたが、海外の一流バレエ団とどれほど違うのだろうかと値段の違いを意識しながら観てきました。ですがこれを観て、国内のバレエ団もそれほどレベルが違わないと思いました。私が見てきたものと多少の差はあるけれど、それほどの差ではないのです。なんというのか逆に安心しました。日本のバレエ団も頑張っているんだというのが分かったし、むしろコストパフォーマンスを考えると、国内のバレエ団は偉い!とさえ思った私でした。

といっても、決して公演は悪かったというのではありません。とても素晴らしかったです。特に、一部のバランシン振り付けによる『セレナーデ』はまるで心地よい音楽を観ているように美しく、これを観れただけでも行って良かったと思うほどでした。

 何しろチャイコフスキーの音楽が美しいのでそれだけでもうっとりしてしまうのですが、パフォーマンスが実にしっくりしているのです。音楽と本当に一体化していて流れているという感じでした。特に最後のシーンは情緒的かつ懐かしいような美しさです。

 これはバレエを超えた他の優れたダンスシーンにも観られるもので、この場面を観て私は前回のマリアパヘス(フラメンコ)の公演で最も感動したシーンを思い出しました。それから数年前に観たイスラエルのダンスカンパニー(インバルピント振付)によるダンスシーンにも同質のものが確かにあったのです。上手く言葉では言い表せないのですが、美しく感傷的でありながら、包み込まれるように温かい、そういった幸せな感じがするのです。そしてそういった場面は何年経っても忘れることがないくらい、私の心に最も響いてくるのだということも改めて分かりました。

ニューヨークシティーバレエは踊り手が元気に楽しんでいるという印象を強く持ちました。プリンシパルといっても、大勢いて個性を出し合って沢山の人にスポットが当たるのです。動きが速く活発で、健康的な感じがしました。

特に3部の『ウエストサイドストーリー組曲』は、もうアメリカ!という感じで元気一杯だし、嬉しくなりました。歌も入るし、まるでミュージカルを観ているみたい。最後の争いの後の、和解のシーンは感動的でした。最後のあの場面があったからこそ、感動的なものになったのだと思います。
私はBプログラムしか観ていませんが、バラエティーに富んだ内容になっていて、バレエを観てきたというより、色々なパフォーマンスを短時間に一気に観てきたという感じで、満足して帰途に着きました。
以上 9/26 自宅にて

Posted: Sat - September 25, 2004 at 09:28 PM      


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