吉田都 &スターダンサーズバレエ団 『ジゼル』ピーターライト版 神奈川県民ホール 


最高の舞台   涙の感動!

吉田都さんのジゼルを今年も観てきました。。なんという幸せでしょう。去年は初めて彼女のジゼルを観たので、一幕が終わった所で感情移入のあまり号泣してしまいました。自分もジゼルになってあの場で死んでしまったような気持になったのです。
今年は二度目ということもあり、去年よりも落ち着いて観ることができましたが、その感動は並々ならぬもので、とても言葉では言い尽くせません。
 彼女の一幕のジゼルの可愛らしさをどう伝えたらいいのでしょう。都さんはジゼルを演じているのではなく、ジゼルそのものになって舞台で生きているという感じなのです。彼女の肉体を借りてジゼルが目の前に出現しているという風なのです。
 それはもう彼女の手の動きひとつからも伝わってきて、彼女が舞台にいるだけで、全てが作りものではなく、本物の色彩を帯びるのです。
 一幕前半ではジゼルのあまりの可愛らしさに目がもう離せなくなってしまい、すっかり心を奪われてしまいます。
 そして一幕の終わりで、ジゼルが失望のあまり、狂乱していくシーンの迫力には息が止まってしまうくらいの凄みがあります。去年の公演ではもう観ていられないくらい私は辛くなってしまいました。どうしてこれほどの表現ができるのか、信じられないくらいです。
 他の方も勿論上手いのですが、何かが決定的に彼女とは違っています。一体何が違うのでしょうか。技術的なことではないように思われます。なんというのか彼女の内面から放射されるオーラのようなものが彼女を輝かせているのでしょうか。彼女の存在そのものが、もう他の人とは明らかに違っているのです。
 一体どのようにしてあのような次元に到達されたのか、想像するしかありませんが、とにかく素晴らしく祝福された存在にまで到達した人、それが吉田都さんなのでしょう。
 二幕になると、今度はこの世に存在しない幽霊として登場します。もうすっかり別人のようでありながら、まだ愛する人を忘れていないジゼルなのです。その空気のような軽さ、この世ならぬ雰囲気を見事に漂わせて、自分を騙していた恋人を助けようとするジゼル。ジゼルが恋人の命を救い、あの世へ帰る最後の場面ではその淡いせつなさに会場は感動の渦に包み込まれました。尋常でない場面での純粋な美しい愛の形がそこにあったのです。
とにかく私にとって、吉田都さんというのは特別な存在になっています。ただ上手いとか綺麗とかいう言葉ではとても足りないし、素晴らしいバレリーナなんですけれどもそれだけでもなんだか足りないような気がするからです。
彼女が舞台に立ち続ける限り、公演に行きたいと思う私でした。
以上です。8/30/04 記述 自宅にて

Posted: Fri - August 20, 2004 at 09:32 PM      


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