越後湯沢の雪山は美しい 2/9/04
関越トンネルを抜けると、別世界が広がっていた。まさに雪国である。視界は高くそびえる山々に囲まれ、木々も道も全てが白銀色に輝いている。雪の重みでしなった樹木は綿帽子をかぶってお辞儀をしていた。空気も澄み、人や車の入らない田んぼは一面が純白色のクリームをかけたかのようになめらかである。雪を頂いた山頂は神々しく、先日観た魁夷の絵に出てくるような神秘性を帯びていた。 旅館の部屋に行き、暖房で熱くなりすぎた空気を冷やすべく、窓を開ける。そこには非日常的光景が当たり前のようにあった。 家屋の軒先からは数メートルもあるつららが幾重にもわたって垂れ下がり、田んぼへと続く小さな小川が雪の影に隠れてひっそりと静かな音を立てて流れていく。遠くには銀色の山々がどしりと腰を下ろしている。田んぼを覆っている雪は足跡一つない。触ってみると、雪は冷たくなかった。柔らかい、そう思った。繊細な自然の結晶物なのだ。 これほどの雪はここまで来ないと目に触れることはない。だからこそ美しいと思えるのかもしれなかった。 湯沢という所は高い山々の懐にあり、そこから流れ出る水は豊富で澄みきっている。自然の恩恵を受けているのだとしみじみ思う。国内きっての米の産地。日本いや世界一の米をはぐくんでいるのは、まさにこの山々であり、そこから来る聖なる水なのである。本来ならその米を口にする時、その米を形成した澄んだ水とそれをはぐくむ山々に思いをはせるべきなのかもしれない。今回の旅でそんなことを思った。それほど久しぶりに見た雪山は私の目に美しく映ったのである。
Posted: Mon - February 9, 2004 at 01:28 PM