初めてのヨーロッパ旅行(ローマ、フィレンツェ、ベニス) 99年3月


あの時の新鮮な感動が伝わってくるメールからの抜粋です

以前に書いたメールからの抜粋なのですが、
当時初めてヨーロッパ文化に接して、
イタリアの様々なことに感動した純粋な自分が思い出されます。

<ローマ 99年3月>(初めてのイタリア旅行)

ローマに着くと、まず美男美女が多くてびっくりしました。
街行く人々が、美術館などの名画彫刻そのもので、
うろうろしているのです。

なんというレベルの高さだろうと感嘆のため息を漏らしつつ、
街中に突如出現する、古代遺跡にまた驚くのでした。
まさにニョキニョキ生えているという状態で
紀元前の柱や壁が今のアパートやホテルなどの間から
顔を見せている様は、凄いという他ありませんでした。

ヴァチカンのサンピエトロ寺院は入ったとたんに
その壮麗さに圧倒されて、鳥肌が立ち、気づけば目頭が熱くなっていました。

ミケランジェロのピエタは言うに及びません。彫刻を見てあれほど感動するとは
思いませんでした。あれはただの彫刻ではありません。
中に何かが入っているに違いないです。

それにしても、建物に入ったとたんに泣いたというのは、初めての体験でした。
あれほどの異質な空間を私は知りません。
カソリックの最高峰であり、今現在も機能しているという事実が
あの空間を創り出しているのでしょう。
あそこでローマ法王を見たら、さぞかし神々しく見えるに違いないでしょう。

その他、ローマでは、牢獄などかなり残虐なものも垣間見たし、
中世の陰の部分が色濃く残ったちょっとオドロオドロシイ教会や
世にも恐ろしい骸骨寺にまで行き、ローマ人の凄さを見た思いでした。


<フィレンツェ  99年3月>

変わって、フィレンツェは、私が憧れていた通りの美しい街でした。
空気がアルノ川の流れのようにゆったりと漂い、
優しい色彩とドォーモの圧倒的なまでの優美さに酔いました。

聖母教会だけあって、女性的な美しさを感じます。
白と淡いピンクに緑の色彩で彩られたドォーモは、
フィレンツェのアルノ川周辺の色彩と呼応していました。

わずか数時間ですっかりその魅力の虜になりました。
現在という時間を忘れさせるような、中世そのままの
時間がそこにはありました。

階段でドォーモに昇りましたが、そこからの眺めはまさに天上そのもの。
まさに言葉では言い表せない美しさでした。

<ベニス  99年3月>

ベニスですが、私は敢えて、幻想の都と呼びたいと思います。
あれほど、現実離れした土地を私は知りません。
存在していること自体が不思議なほどでした。

アドリア海の女王と呼ばれるにふさわしく、女性的で、
とてもロマンチックなのです。

崩れかけたような建物がまるでマッチ箱のように所狭しと無秩序に
並び、その合間を縫ってゴンドラが小さな橋をくぐっていきます。

夜の闇が降り立つ頃になると、幻想的なランプに明かりが灯り
その非現実性はますます色濃くなっていきます。

水際に立って、ランプの光が踊る水面や橋の下を眺めていると
ここは現実に存在しているのかしら?
と首をかしげたくなりました。

アドリアの海の色は、ヴィーナスのような人魚が住んでいても
なんの不思議もない、翡翠の色でした。

ヴィスコンティの名作「ベニスに死す」の舞台、リド島にも海を眺めながら渡り
浜辺で沢山の美しい貝殻を拾いました。

ボッティチェルリの絵画に出てくるような綺麗な色と形の貝殻が
際限なく浜辺に打ち上げられていて、あのような名画が生まれるのも
当たり前だと納得した次第です。

Posted: Thu - March 11, 1999 at 02:36 PM      


©